正月明けから連絡が取れなくなっている著者がいる。メールを書いても返事がこないし、携帯電話も電源が切れたままだ。
このままだと今進めているムックの原稿が落ちてしまう!
いろいろ著者の知り合いに当たって連絡を試みたがすべてダメ。しかたなく著者の家に原稿の取立てに行く。
夜8時、会社を出発。住所のメモを見つつアパートを探すが、それらしきものが見つからない。同じ区画をぐるぐる歩き回り、ようやくここかなぁという部屋を見つける。
しかし、表札も何も出ていないし、窓にはすべてシャッターが下りていて明かりも漏れていない。いるのか? まさか中で死んでたりしないだろうな。
そっとドアに近づき耳を澄ます。しばらくして、中からカチャカチャというキーボードの音が聞こえてきた。 ビンゴ! ここだ、いる!
さぁ、どうする。下手に名のると居留守を使われるかもしれない。宅急便を装う手もあるが、すでに夜9時をだいぶ回っているし、逆に怪しまれかねない。しばし黙考。
よし、声はかけるが名のらない、これでいこう。
ドアをノックする。返事がない。
強くドアをノックする。返事がない。
ドアをノックし、声をかける。「すみません。」
キーボードの音が止まった。
さらに大きな声をだす。「すみません!」
がさがさと音がして、ドアが開き、著者が出てきた。
「あっ!」著者が叫ぶ。目が泳いでドアを見た。閉める気か? 足を差し込もうと身構えたが、あきらめたようにドアから手を離した。
あとは話し合うだけ。とりあえず、今夜中に原稿をあげることで決着した。
が、いまだに原稿は来ない。また今夜も行くのか?
その後昼過ぎに原稿がきた。とりあえず一安心。
すごい、こんなドラマのような事って本当にあるんですね。
返信削除雑誌の編集をやっていた頃は、しょっちゅう著者を追っかけていましたけど、書籍担当になってからは平和な日々が続いていたのでした。
返信削除原稿が書けなくても、ちゃんと連絡さえとってくれれば問題はないのに。どうして著者は逃げるのだろう?