2005年1月18日火曜日

ERP5

1月12日はPlone研究会だった。遅ればせながら、簡単なレポートをまとめておこう。



簡単なはずが長くなったので、結論を書いておくとERP5は要注目!

2005年にドキュメントを充実させるということなので、今年はPloneを勉強して、来年ERP5を勉強するのがよさそう。



Zope上のオープンソースのCMSには、以下の3つがある。



・Plone(http://plone.org/

・CPS(http://www.nuxeo.org/

・ERP5(http://www.erp5.org/



今回のPlone研究会では、このERP5を開発しているフランスのnexedi(http://nexedi.com/)のCEOであるジャン・ポール(Jean-Paul Smets)氏が講師になって、ERP5の紹介をしてくれた。

ジャン・ポールさんは20歳の頃、日本の大使館で1年半ほど働いていたことがあるそうで、日本語がとても上手。ERP5の紹介は、9割日本語、1割英語という感じで行われた。



以下はERP5のメモ



・ERP5の最初の目的は工場の経理システム構築。その後経営もできるようにし、オンラインショップもできるようにした。ERP5は経理・経営に特化したCMSである。

・ERP5の5は、Path, Node, Movement, Item, Resourceという経営のコンセプトの数を表している。この5つのコンセプトを元にシステムを構築すると効率的だという話のようだが、経理システムに詳しくないのでよくわからない。

・nexediはオープンソースのみを使って黒字になっている。お金を集めて製品を作り、それをGPLで公開する。同じようにオープンソースでビジネスを行っている会社がフランスには50社くらいある。

・以前は大企業か政府しかオープンソースを買わなかったが、今は小さな会社が買うようになった。これはよい市場だ。

・nexediのお客さんもソースを公開するようになった。理由は、ソースを公開すれば誰かがメンテナンスしてくれるから。公開しなければすべてを自分だけでやらなければならない。これはコスト的に損。

・nexediにはおくじさんという日本人が一人社員になっている。

・ERP5はUTF-8に対応している。これはおくじさんの仕事。

・以前はERP5のシステム設定に1週間くらいかかっていたが、Mandrake Linuxを使ったERP5のライブCDができたので、今では5分でセットアップできるようになった。ライブCD起動時にハードディスク上にデータエリアを自動的に確保する。

・サーバはデスクトップに比べて必要なソフトウェアが少ないので、容量を抑えることができる。おかげでUSBメモリでライブCDと同じものを作れるようになった。システムアップデートは新しいシステムをUSBメモリに焼いて、顧客に郵送するだけでできる。

・umigumiというコマンドでライブCDを作る。

・ビジネステンプレートによって、data.fsのコピーなしに他のサイトに構築したシステムを移すことができるようになった。

・SyncMLという技術で複数のZopeサイトをemailやHTTPでシンクロできる。

・2005年はERP5のトレーニング用ドキュメントを出す年にする。今はドキュメントが不足しており、ドキュメントの充実が最大の課題。

・ERP5ならOracleの半分のコストでシステムが作れる。ただし、構築にかかる時間は同じ。

・ERP5はMySQLを使っている。MySQLの社長とは10年前からのつきあい。

・ZODBに元のデータを収録し、MySQLにインデックス情報(この辺ちょっとあやふや)を入れることでZODB上のデータをSQLでクエリーできるようにしている。これはおもしろい。

・ZODBはMySQLの10倍は早い。

・ホットリインデックス(と言ったと思う)によって、カタログを作り直している間もERP5を使い続けることが可能。これはZSQLを使って実現している。

・ZSQLCatalogはコンフリクトを起こさないが、Zopeのカタログはコンフリクトを起こす。だから、大勢のユーザーが書き込む場合は、ZSQLCatalogでなければ使えない。

・Ploneで使うなら、ERP5Catalogがよいとのこと。

・Jim Fultonのネーミングのルールにしたがっている。たぶん、そんなことをやっているのはnexediだけだと思うが役に立つ、そうだ。

・PDFをCMFReportを使って作っている。これもUTF-8に対応している。CMFReport with ReportLab(http://www.reportlab.com/)は早い。100ページ出力するのに15秒くらい(!)。

・CPSSkins(http://www.medic.chalmers.se/~jmo/CPS/)はPloneでも使える。マウスでページレイアウトできるので、とてもよい。



以下、雑談的なメモ

・Ploneの最初の本はフランスで出ていた!

・最近フランスで、OpenOffice.orgをPythonを使ってカスタマイズしたり、Zopeと関連させる方法を書いた本が出た。

・フランスで本をだすと売れても3000部くらいだそうだ。

・ヨーロッパでは、政府がフリーソフトウェアを数多く使っている。PHPよりもZopeのほうが多く使われているかも。フランスの政府のサイトでは、Zopeが多く使われている。

・JavaではObjectWebが売れている? ヨーロッパでは、Zopeの競争相手はJavaであって、PHPではない。

・ヨーロッパでは、マイクロソフトはイギリスでしか売れていない。



一番驚いた情報

現状、フリーで公開されているZopeではノンストップサーバを構築することはできない。しかし、2005年中にnexediからノンストップサーバを構築可能にしたZopeがでるんだそうだ。もちろんフリーで!

しかもこのZopeは1テラバイトのdata.fsをハンドリングできるとか! どうやって1テラバイトのファイルを扱うのか質問したところ、そんなこと普通のデータベースはみんなやっているでしょ、という答えが返ってきた。ようするに複数のファイルに分割したものを仮想的に1つのファイルに見せかけるんだろう。RDBMSの機能をZODBに取り込むということか。とっても楽しみ。

ただし、この話は懇親会(飲み会)の会場で聞いたので、どの程度の信憑性があるのかはわからない。でも、大期待だな。

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