2006年10月2日月曜日

Python Developers Camp 2006 夏 和訳プロジェクト

Python Developers Camp 2006 夏、2つ目のセッションのメモ。


和訳プロジェクトの紹介

増田泰

和訳プロジェクトのサイト(http://www.python.jp/Zope/pythondoc_jp/


自分は時間が取れなくなってきたので、後進にがんばってほしい。

なぜ和訳するのか
 自分のため
  何度も英語を読み直すのはめんどう
  コンテンツが人と情報を引き寄せる
 他人のため=自分のため
  頼れるリファレンスの存在はローカルコミュニティの起爆力になる
  試行錯誤のコードが減る→信頼性が増す

和訳ドキュメントに何が必要か
 有益:お得感はユーザの向上心をあおる
 可読:より広範なユーザを獲得できる
 正確:正確な情報はソフトウェア自体の信頼性も高める
    ドキュメントどおりにやってうまく動かないとソフトウェアの問題にされる
 完全:完結したドキュメントは読み手にも書き手にも安心感をもたらす
    一部だけいつまでも翻訳されずに残っていると不安をもたらす
 新鮮:更新され、改良され続ける技術にこそ価値がある

Pythonの和文情報
 標準ドキュメント
 2ch:Pythonのお勉強まとめWiki
 オンラインドキュメントリンク集
 日本語PEP集

標準ドキュメント
 Pythonソース配布物についてくるドキュメント
 15000行、6Mbytes、1608ページ(CVS HEAD)

ドキュメントの形式
 書式はLaTeX
  python.sty(pythonjp.sty)
  ページサイズ設定、主要なマクロ定義
  manual.cls/howto.cls(manualjp.cls/howtojp.cls)
  構成(目次の有無など)設定
 make, python, perlを使ってビルド
 PDF, HTML, isilo, CHM対応(日本語ではisiloは出せない)
  PS/PDF:latex(2e), Ghostscript, dvipdfm

ビルドシステム
 TeXのソース(euc)からUTF-8のPDFを作る
 同じくTeXのソースからsjisのHTMLを介してCHMを作る

和訳ドキュメント固有の特徴
 TeXソースはeuc-jp-unixで記述

和訳プロジェクト
 標準ドキュメントの和訳とメンテナンス
 成果物はPSF Licenseで公開
 PEPや3rd partyモジュールのドキュメント和訳も公開
 翻訳スタッフは随時募集

2.4を訳了したけどしんどかった。
2.5が出ているが、3000行くらい追加で訳さないといけない
現スタッフは息切れぎみ、アクティブな人が減っている
アクティブに動く人があと5人くらい欲しい

ビルドシステムのただ乗り(すでにシステムがあるのでこれをそのまま利用できる)
 mkhowto_jpを起動する
 mod_pythonのビルドMakefileを使う
 必須:Python + Perl
 和訳ドキュメントソース
 python mkhowto_jp (options) toplevel.texで作れる

ReStructuredTextの翻訳
 利点
  ビルドしなくても読める。配布できる
  PDFやHTMLに変換できる
  PEPや多くのモジュールのREADMEで採用
 注意すべき事
  推奨文字コード:euc-jp
  タイトルやテーブルの幅:ワイドグリフ
  マークアップの境界をASCII文字にする
  日本語タイトル

ReSTドキュメントのビルド
 rst2html.pyを使う

私的和訳の進め方
 エディタは等幅フォントを表示できないとだめ
 辞書:おすすめはリーダースCD-ROM
 日本語力は英語力より重要
 googleで英語と日本語の和訳の候補を入れて検索して、その訳が妥当かどうかを検証する

 翻訳する底本を選ぶときは、できればバージョン管理されているものを選ぶ。リポジトリから差分がとれるので、便利。
 必ずライセンスを調べる。わからないときは著者に問い合わせる。無反応なときは暗黙の了解ができたと考える。

注意すること
 一貫性:最低、用語と文体をそろえる
 背景知識:勉強になる
 可能な限り原文を尊重する
  私見を入れない
  和文/英文リンクの併記

やってはだめなこと
 翻訳ソフトを使う→甘えのもと
 翻訳ソフトの訳は後でいくらいじってもまともにならない

訳し終わったら
 原文作者に連絡を取る
 MLなどに宣伝
 手放したければリポジトリを公開するのがいい

和訳にもっとも必要なもの、それは愛だ!



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