「企業システムとRuby with CTC」セミナー
Ruby on Railsでブレイク中のRubyの、それもエンタープライズよりのセミナーである。ついこの間まで、「Ruby」と「エンタープライズ」なんて、水と油みたいなものだと思っていたんだがなぁ。世の中わからんもんだ。最後に登壇したまつもとさんが、何度も「エンタープライズなんてずっとアウェイだと思っていた。非常にとまどっている。」と繰り返していたのがよくわかる。
毎日かかさず日経新聞読んでます風のビジネスマンが「今後企業システムの開発はJavaからRuby on Railsに移行する」とか言っているのを聞くと、正直目が点になってしまう。申し訳ないけど、「ホントか、おっさん」とかって言いたくなっちゃうんだよね(私も十分おっさんだけど)。
セミナー自体は大盛況で、会場は満杯。ほとんどが背広組みで、私が知っているRuby関係者は数えるほどしかいなかった。
以下、不正確なメモ。間違っていたらご容赦を。
Sun's Strategy for web technology in Web 2.0 era
(Tim Bray, Director of Web Technologies - Sun Microsystems, Inc)- Web 2.0の特徴は貢献のカルチャー
- 世界の一部の人はPublishingをしたがっている
- Sunの社員全員にブログを書く許可を与え、環境も用意しているが、実際に書いているのは5%(10%?)しかいない
- 情報発信をすると聞く能力も高まる
- 少数のブロガーの中には新聞やテレビに匹敵するオーディエンスを持っている人がいる
- オーディエンスが少なくても適切な人たちであればそれでよい
- Sunの技術者が書くブログを理解できる人は100人くらいしかいないかもしれないが、その100人はSunにとってとても重要
- 昔は、情報は少数から多数へ、中心から端へと流れていた。これが端から中央へ流れるように変わった
- 開発が簡単になってきたので、アイデアとツールがあればだれでも新しいものをWeb上に作れるようになった
- O'reillyのデータによると、ほとんどの言語(の本)はフラットか減少している。伸びているのはJavaScriptとRubyのみ
- Webアプリケーションを作るのにかかる時間が問題
- PHPにはセキュリティと保守の面で大きな問題がある
- RubyであればPHPの利点を持ちながらクリーンで保守性の高いコードが書ける
- 世界がすべてJavaだけでできているとか、Rubyだけでできていれば人生は楽になる。でも、もうそうではない
- ネットワークはヘテロジーニアスな環境になっている
- 将来はJavaプラットフォームを利用して、さまざまな言語を使えるようになる
- RESTのアーキテクチャをWebに適用した例として、Atom Publishing Protocolがある
開発の現場から得られたRubyのポテンシャル
(株式会社イーシー・ワン、プロジェクトマネージャー太田宗吾、アーキテクト秋間武志)- 一人(秋間氏)以外はRuby未経験者のチームで開発を行った
- Rubyは未経験だがJavaではベテラン
- 期間は7週間
- Railsのプラグインが便利で、ロケットスタートが切れた
- Railsのレールに乗ることで開発のスピードがアップ
- Rubyの高い学習曲線(学習しやすいということだろうなぁ)のおかげで3週間目にはビジネスロジックを書けるようになった
Tracが使いやすかった、顧客にも使ってもらえた
- 今ではRailsのプラグインを作っている
- Ruby Business Commonsというコミュニティから情報発信する予定
私達が体験したRubyプロジェクトの実際
(伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 ITエンジニアリング室 先端技術チーム長 亀田 積)開発チームのほとんどがJavaプログラマ、技術リーダーのみがRails経験者
- 1ヶ月でだいたいは書けるようになった
- Railsらしく書けるようになったのは3ヵ月後
- パフォーマンスについてはJRubyに期待
- JRubyでは、Javaで培われたエンタープライズな環境が使える
JRuby and NetBeans -- Why Sun?
(Charles Nutter, Thomas Enebo - Sun Microsystems, Inc JRuby: Ruby for the Java Platform開発者)- Rubyは今世界で10番目に人気のあるプログラミング言語(TIOBE)
- JRubyは2002年から開発している
- Ruby 1.8.5と互換性を保つようにしている
- JavaプログラマはなぜRubyを使いたがるのか? Rubyは良い言語だし、Javaにないフィーチャーがあるから。行数を減らせるし、問題に対する考え方も変わる
- Ruby kaigi 2007でJRuby 1.0をリリースした
- Rubyをきちんとサポートできれば他のDynamicな言語もJVMでサポートできる
- NetBeans 6マイルストーンにRubyサポートが入っている
- 今後は、1.9/2.0対応、JavaのネイティブUnicodeのサポート作業を進める
- デモで使っていたのはMac OS X、エディタはviだった
Rubyへの取り組みと戦略
(サン・マイクロシステムズ株式会社 藤井彰人)- jrunscriptコマンド、デフォルトでJavaScriptが動く
- Sunの戦略、Rubyコミュニティの良き市民になること
- Solaris 10をRubyの最高のプラットフォームにする
- NetBeansをマルチ言語対応デベロッパーツールにする
- JRuby on Glass Fish
- イノベーションを起こせるエンジニアになる必要がある
ビジネスアジリティへの Ruby のインパクト
(伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 執行役員 ITエンジニアリング室長 鈴木誠治)メモなし
The Power of Ruby
(ネットワーク応用通信研究所 フェロー まつもとゆきひろ)- エンタープライズはずっとアウェイだと思っていた。とまどっている
- あらゆる業種でソフトウェア開発が死活問題になってきている
- いまやソフトウェアは吉野家の牛丼
- うまい、はやい、やすい → 高品質、短納期、低価格
- Rubyで解決!
- Rails → 痛くないWebアプリケーション開発、Webアプリケーション開発は痛い!
- Railsの登場で、ブログシステムは15分で作れるようになった。このフィルムのインパクトは大きかった
- 調子に乗ったRailsプログラマは一生懸命練習を重ね、今では2分でブログシステムを作れるようになっている
- プログラミング言語のパフォーマンスはすでに問題ではない
- スケーラビリティのボトルネックはネットワークとデータベース、どちらもRubyとは無関係!
- twitterは11000リクエスト/秒をこなしたとか?
- 結局スケーラビリティとは、リソースをどれだけ投入するかという問題
- ぶっちゃけエンタープライズとは、有名企業が使用を推奨するかどうか
- Sun 問題は何であれJavaだ!(昔)→ 問題は何であれJavaプラットフォームだ!(今)
- Microsoft IronRubyを作っている
- IBM Rubyに注目しているらしい
- CodeGear(Borland) Ruby対応のIDEを作る
- Thought Works マーティン・ファウラーの会社、Rubyの技術者を雇っている
- BEA 何か出てくるかも
- 言語の違いは実はあまりない、何で作ってもちゃんと動く
- なぜRubyか → 十分良い、十分早い
- オブジェクト指向で生産性があがるというのは幻想
- フレームワークとライブラリが重要
- LAMPで使われるP言語(Perl、Python、PHP)
- PにロングテールでRuby
- 人にフォーカスする、人の生産性をあげることが重要、マシンはどんどん早くなる
- 刹那的生産性、ノリ、気分、などを維持できるのがRuby
- Rubyには哲学に基づくバランスがある
- Fred Brooksの法則 一人のプログラマが一日に書くプログラムの行数は言語によらず一定
- 生産性の高い言語を使うことで生産性を上げることができる
- 必要なのは単純な言語ではなく単純なソリューション
- 単純な言語のほうが美しいので、言語設計者は単純な言語を作りたがる、気持ちはわかる
- 今ではRubyはバイオインフォマティクスや気象情報処理にも使われている
- スーパーコンピュータでRubyを動かすなんて正気の沙汰じゃないと思っていたが、世の中正気じゃない人がいっぱいいる
- 先日Blue GeneでRubyが動いたとメールをもらった
- NASAでもRubyが使われている
まとまった資料ありがとうございます。
返信削除最近RUBYの動きが活発ですよね~。本日三鷹市産業プラザで島根大学と2元中継でRUBY関連のネタをやっていましたよ。
どちら様も、注目しているみたいです。ということで、pythonはどうなった…。「三鷹の街づくりなんとか」でもRUBYを担いで、三鷹ICT事業者協会の起爆剤にするみたいです。
HOTTAさん、お久しぶりです。
返信削除たしかにこのところのRubyの盛り上がりはすごいです。
自治体とかがやたらと持ち上げてるし。
Pythonもがんばってほしいなぁ。