2007年10月4日木曜日

負のスパイラル

先日も取り上げたジェリー・パーネルのコラムにこんな記述がある。

出版社がある著者の本を5万部出荷し、実売率が60%だとする。これはかなり良い。しかし、3万部しか売れないなら、そんなにたくさん出荷する必要があるのかと出版社は考えるだろう。出版社は同じ著者の次の本は4万部出荷する。これも60%の実売率だ。その次はたった3万部しか出荷されない。その次は、例えばその著者の本があまり売れなかったとすると、新しい著者を試してみよう、となる。

これは、出版社に勤めていればよくある話で、特に珍しい話じゃない。日本でもアメリカでも出版社がやっていることは何もかわらない。

でもこれは負のスパイラルだ。

実売部数が少ない → 適切だと思われる数まで刷り部数を下げる → さらに実売部数が下がる → しかたなくもっと刷り部数を下げる → 利益が出ないほど実売部数が下がる → 出版中止

経験則で言うと、刷り部数を下げると必ず実売部数が下がる。刷り部数を下げて、実売部数を維持できたことはまず無い。

雑誌がこのスパイラルに入り込むと悲惨だ。坂道を転がり落ちるように実売部数が下がっていって、あっという間に休刊になる。

刷り部数を下げれば実売部数が下がる。このことは出版社の人間なら誰でも知っている。わかっている。でも、やめられない。

刷り部数を維持したからといって、実売部数を維持できる保証はない。保証が無いことは皆怖い。怖いからやらない。やれない。

刷り部数を維持して、実売部数を伸ばすために努力すべきなんだろうが、これがなかなかできない。

このままではまずいという気持ちは強いが、スパイラルを抜け出す方法は見つからない。



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