「プログラムもできない僕はこうしてアプリで月に1000万円稼いだ
」という本を読んでみた。翻訳書で、原著は"App Empire: Make Money, Have a Life, and Let Technology Work for You
"という本。原著は、amazon.comの読者レビューで105人が評価して星4つと好評化だが、翻訳版はamazon.co.jpで1人だけがレビューしていて、星3つ。翻訳書のレビューはあまりよくなくて、「さほど目新しい事はありません」とか「今のアプリマーケーットでは非現実だと思います」とか書かれてしまっている。
内容としては、iPhone用アプリビジネスで成功するためのノウハウをまとめて伝授するというもの。若干自己啓発書的な匂いがするものの、まじめに書かれた良書だと思う。
著者自身がプログラミングスキルをまったく持っていないため、ビジネスとしてiPhoneアプリをどう作り、どうメンテナンスして、どう利益を上げるか、という話が書かれている。iPhoneアプリとかいうと、すぐにXcodeだとか、Objective-Cがどうしたとか言っている私のような人間にとってはかなり新鮮な内容だった。
アプリのアイデアを出すために、まずはアップストアとそこで売れているアプリをよく見ろ、というところから始まり、成功しているアプリの模倣できる点は模倣するようにとも書かれている。「え〜!」とか言いたくなってしまうが、利益をあげることを考えるなら当然のことなんだろうなぁ。アプリの機能をどう実現するかみたいな話はまったくないが、アプリのアイコンやタイトル、アップストアに登録するキーワードや説明、画面ショット、カテゴリーなどをどうすべきかという話はたっぷりある。
さらに、アプリのダウンロード数を毎日見ながら、アプリのアイコン、タイトル、キーワード、説明、画面ショットなどなどを1つずつ変更しては、ダウンロード数の変化を観察し、最大化するようにと述べられている。当たり前といえば当たり前かもしれないが、こういう地味な作業をきちんとやるのはたいへんだし、実際にやっている人は案外少ないような気がする。
先にも書いたように著者がプログラマではないため、開発およびメンテナンスのためのチームを作ることが前提になっていて、1人でちょろっとアプリを作って小遣い稼ぎみたいな本とはかなりテイストが異なる。どのようにプログラマを探し、優秀かどうかをどう見分けるか、デザイナーやプロジェクトマネージャーをどうするか、などなど、人にまつわる話もしっかり書かれているし、複数のアプリを開発・メンテナンスしていくためのバックエンドシステムの開発話まで出てくる。遊びではなく、本気でアプリビジネスを始めようと思っている人には、かなり実践的なノウハウ本と言っていいと思う。
amazon.co.jpのレビューのように、今のアップストアでは、これだけでは稼げないのかもしれないが、少なくともこの本に書かれている程度のことをやらなければ、話にならないだろう。iPhoneアプリを作ってみたけど、まったく売れないという人は読んでみて損はしないと思う。
以下、自分用のメモ。
『プログラムもできない僕はこうしてアプリで月に1000万円稼いだ』チャド・ムレタ著 児島 修 訳
- アプリビジネスの本質は「ユーザーが他者とつながり情報を得るために、どのようにこの技術を使うか」を知ること
- 仕事が楽しくてたまらない、そう思えるようになれば、あとはスキーリフトに乗っているかのように、"現金の山"を目指して、自動的に登っていける
- 「90/10の原則」人生の10%は、何が起こるかでで決まる。残りの90%は、それにどう反応するかで決まる。
- 自分の時間と意欲をすり減らすものは、すべて外注すべき
- 大局を俯瞰し、マーケットを研究し、ユーザーのように考え、成功者を模倣する
- アップストアの解析ソフトChomp
- ユーザーが衝動買いをする際の流れ
- アップストアでアプリを見つける
- アプリのアイコンを見る
- タイトルと概要、他者の評価に目を走らせる
- 画面を下にスクロールして、ざっと説明に目を走らせる
- 画面ショットに目を止める
- アプリを購入する
- ユーザーはダウンロードしたアプリを使い始めて30秒以内に「面白い」と感じなければ、アプリを終了して二度と使おうとしない
- 「10/30の原則」ユーザーが検索から10秒以内にそのアプリを買いたいという衝動を感じ、最初に30秒以上使い続けたら、長期的な顧客になってくれる
- 成功するアプリの特徴
- 楽しい/娯楽的な要素がある
- 直観的/単純で使いやすい
- ユーザーを惹きつける/魅力的
- 中毒性
- 価値/メリットがあると実感させる
- 異文化横断的
- 優れたグラフィックとサウンド
- 口コミ
- 熱意を目標達成のための仕組みに結び付けなければならない
- 売れているアプリを模倣する
自分アイデアがすでに他社のアプリによって実現されていたとしても、気落ちする必要はない。それは、マーケットがそのアイデアを求めていることを意味する。むしろ歓迎すべきことだ。 - すでに成功しているものを見つけ、それを改良して提供する
- 大きな需要のある分野でアプリを作る
- 既存のアプリから学ぶ
- ユーザーはなぜこのアプリを購入しているのか?
- アイデアを模倣して、さらに高いレベルのアプリを開発できるか?
- このアプリのユーザーは、他にどのようなアプリを好むか?
- 他の類似したアプリは、マーケットにどの程度あるか?
- このアプリは、過去にどの程度、どれくらいの期間、売れているのか?
- マーケティング戦略と価格設定モデルはどのように機能しているか?
- ユーザーを惹きつけるため、アプリにドレスを着せる
- アイコン、タイトルは覚えやすく、アプリの特徴や機能をはっきりと表すものにする
- 画面ショットにグラフィックや宣伝文、操作説明などを加える
- キーワードを決める際には次の3点を注意
- 対象のユーザー層
- ユーザーがアプリを使う目的
- ユーザーが求めている機能
- 無料バージョンを公開したあと、1〜2週間をかけてマーケット調査を続ける
- 3〜5回、アイコンと画面ショットを変える
- タイトルと説明は5〜10回変える
- アップデートするときは、毎回キーワードも変え、必要ならカテゴリーも変える
- 一度に多くの変更はしない。何が効果をもたらしたのかわかりにくくなる
- ダウンロード数はトラフィックとして考える
- トラフィックが下がっていたら、その理由を考え、向上させるための手立てを講じる
- アプリをランク入りさせるためのあらゆる手立てを講じる。ランク入りしたあとも順位を常にチェックし、下がってきたら原因を検討し、手を打つ
- Flurryを用いて、アプリ内でのユーザーアクティビティを追跡する
- 毎日収入を管理し、日、週、月、四半期の傾向を把握する。収入の傾向に変化を見つけたら、すぐに原因を突き止め、対策を講じる。
- 統計用ツールとして、アップルデベロッパーポータルを使う。App Figuresおよび類似サービスのApp Annie
- 変更は1つずつ個別に行い、その結果をテストしていく
- 効果を見極める期間は1周間が適切
- タイトル、キーワード、説明、カテゴリーの変更にはお金はかからない。まずここから始める。
- 変更点を記録し、その後の変化を追跡する
- 変更間利用の表(appempire.com/trackchanges)
- 改善を行っても3ヶ月〜4ヶ月改善が見られなければ、見切りをつける
- 複数のアプリのネットワークでアクティブユーザーを互いのプロモーションに活用する
- 「お勧め画面」アプリの起動時に有料版の宣伝をする
- アップストアにアップデートを提出しなくても、お勧め画面を更新できるようにする
- お勧め画面には、表示・非表示を切り替える機能をつける
- 定期的にお勧め画面を見直し、クリック率を上げるための施策を施す
- 有料版では、お勧め画面機能をオフにする
- 同じデベロッパーあるいは提携する他のデベロッパーのアプリの宣伝をするプロモページを作る
- アップストアで使われている、ライトグレーとダークグレーのバナーの背景色が最も効果的
- バナーの位置が高いほど売上が高い
- 「続き(More)」ボタンをアプリのメインページやメニューセレクションに表示して、プロモページに誘導する
- プッシュ通知を用いて、ユーザーのスマフォにメッセージを送り、アプリを起動するかメッセージを破棄するかを求める。アプリの存在をユーザーに思い出させる(使い方は慎重に)
- アップデートはできるだけ頻繁に行う
- 毎日こう自問する「トラフィックからお金を得るために、もっと良い方法はないだろうか?」
- 3つの収入モデル
- フリーモデル
有料アプリのお試し版としての無料アプリ - プレミアムモデル
アップストアにおける有料アプリの販売 - フリーミアムモデル
アプリ自身は無料だが、アプリ内課金で利益を出す - アプリに広告を表示するには、アップルのiAd、googleのAdMob、Millennial Mediaがある。これらのすべてを使う
- Googleのadwhirl(アドワール)を使えば、複数の広告プラットフォームに対し、広告リクエストをシームレスに送信できる
- アフィリエイト代理店、アメリカはLinkShare、欧州はTrade Doubler、オーストラリアはDGM
- ローカライズは既存のアプリを用いてトラフィックと収入を得るための常套手段
- ローカライズの注意点
- 目的言語を母語とする翻訳者に仕事を依頼する
- 対象国に合わせた表現にする
- 主要なマーケットに絞って翻訳する
おもなマーケット:アメリカ、中国、イギリス、カナダ、ドイツ、フランス、スペイン語圏 - アプリをアップグレードする、高度機能を搭載したバージョンを提供する、外見をリフレッシュする
- 新しいアプリを開発し続ける
- アプリビジネスのさまざまなプロセスを自動化し、最適化するためのバックエンドシステムを開発する
- データベースにお勧め画面、プロモページ、海外向けアフィリエイトリンク、他言語化した文字列などを格納する
- アプリには、地域と言語を認識する機能を入れる。起動時にユーザーの地域・言語を取得し、バックエンドから必要な情報を取得する
- 売却を前提に、アプリを買い手にそのまま渡せるように開発する
- ビジネスの重要な部分だけを監視し、残りはアウトソースする
- ビジネスを成長させていきながら、自分自身の仕事を増やさないようにする
- チームを作って実現する
- 人に仕事を任せるかどうかの判断基準
- 自分がビジネスのボトルネックになっていないか?
- 他の誰かができる仕事に時間をとられていないか?
- アプリビジネスの7つの柱
- 心構えと勝者のマインドセット
- 市場調査
- アプリの開発とメンテナンス
- 分析と調整
- マーケティングとマネタイゼーション
- チームとシステム
- 同業者の人脈
- 7つの柱を確認するために、それらを日課にして、習慣化してしまう
- その日に行うべきタスクのリストを作る時間をとり、できたらプロジェクトマネージャーに伝え、チームに実行させる
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